金の時代再び
近年の金相場の動き
金価格は、1999年から2001年にかけて250ドル近辺という歴史的な低水準で推移していましたが、わずか7年で1000ドル台に乗り、その後は700ドル 台まで値を下げるという急激な変動を起こしました。
21世紀に入ってから、金を取り巻く環境は絶えず変化しています。投機資金の流入や新興国の台頭など、まずはその要因を見てみましょう。 |
<NY金価格の推移>
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過剰流動性とインフレの萌芽
2000年のITバブル崩壊以降、米国を始めとする主要国は、景気刺激とデフレ圧力緩和のために金融緩和政策を強力に推進しました。各国が政策金利を大幅に引き下げることで世界中に大量のマネーを供給し続けたのです。その結果、国際的な過剰流動性を生み、カネ余り現象があらゆる市場の価格上昇圧力となりました。こうした金融緩和政策を続けたことによって、早い段階で米国では景気に過熱感が生じ、株価や住宅などの不動産価格などあらゆる資産価格が上昇し、消費者物価上昇率の高まりなどインフレの萌芽が見られるようになりました。
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新興国の台頭
2001年12月のWTO加盟以降、世界経済における中国の存在感・影響力が非常に強くなりました。「世界の工場」とも言われる中国は、圧倒的な人的低コストによる安価な製品輸出によってデフレ要因とされていましたが、一方でエネルギー効率の低い製造工程で必要とされる原材料を大量に消費し始めたことから、国際商品の供給が度々逼迫するようになり資源価格を大きく押し上げる要因となってきました。 米大手証券会社ゴールドマンサックスが2003年に発表した「BRICsと見る夢-2050年への道」は、今後飛躍的な経済成長を遂げるブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)の4カ国を分析したレポートで大きな話題を呼びました。 |
特にインド・中国といった伝統的に金嗜好の強い国は経済発展による収入の増加が金の需要増加にダイレクトに結びついています。中国は国内に金取引所を創設し規制していた金取引を段階的に緩和し始め、これに先行して金自由化に踏み切ったインドは記録的な需要増加傾向を辿っています。
そしてこのような金需要の増加と価格上昇をテコに、最近ではBRICsの「s」は南アフリカであるとさえ言われるほど、同国の経済成長も注目されています。 |
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中央銀行の方針転換
過去の金価格は約20年間右肩下がりに推移してきました。とりわけ90年代後半は、各国の中央銀行による準備金売却が大きな下落圧力となりました。金は1999年にはついに250ドルまで下落しますが、同年9月に金市場の需給構造を大きく変える「ワシントン合意」が発表されます。これは5年間の時限措置として、期間内の欧州中央銀行による金の売却量を制限するという内容です。
この「ワシントン合意」は5年後の2004年に内容を見直した後、再び発効されています。そして10ドル台にまで原油価格が低迷した逆オイルショックの時代に準備金を投げ売りしたロシアは、原油価格の高止まりによって息を吹き返し、ここへきて再度金準備を積み増す意向を明らかにしています。金市場を創設し、個人の金取引を解禁した中国も国家レベルで金準備を増やしているのです。
翻って日本国内の先行きを見てみましょう。大きな政府から小さな政府へと政府機能のスリム化が進み、年金制度改革も万全とは言えない状態のなかで、個人の自助努力が求められています。その流れは金融行政の方針「貯蓄から投資へ」というスローガンに如実に表れているといえるでしょう。国の財政建て直しの観点からは、消費税率の引き上げは時間の問題となり、個人個人が何らかの工夫を図ることが必要な時代になってきました。とりわけ、投資先を分散するという意味で、ポートフォリオに金投資を組み入れる向きが増えてきています。
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